まいどおおきに!Akidou(@Akidou123)です。
今回は「ファンテック」さんの「スジ彫りカーバイト」についての記事となります。
僕も愛用している「スジ彫りカーバイト」ですが、どういった道具でどう使うのか、また取り扱いの注意などを実体験からご紹介していきます。
ガンプラ初心者が素組みからステップアップするうえで、非常に使いやすいツールだと思うので、興味を持った方はぜひ使ってみてください。
ということで、さっそくですが、まずはコチラの写真をご覧ください。
この2つのパーツ、どっちの方が立体感があるでしょうか?どちらも簡単に青の塗装に黒のスミ入れをしています。
これだけハッキリと違いが出るのも「スジ彫りカーバイト」を使っているからですね。
後ほど詳しく解説していきますので、ぜひ最後までお読みください。
スジ彫りカーバイトとは
まず「スジ彫りカーバイト」とは何なのか?というお話から。
「FUNTEC(ファンテック)」というメーカーから発売されている「斬技(キレワザ)」シリーズの1つで、名前の通り「スジ彫り」をする為の工具です。
「超硬合金(タングステンカーバイト)」という素材を使って作られており、その硬質の素材でプラスチックを削ることで、しっかりとしたスジ彫りを彫ることが出来るわけです。
先端は三角の角のような刃(平刀)になっていて、刃幅の種類がかなり豊富。(後述します)
ケガキ針などの尖ったもので深く彫ると「V字」になりますが、「スジ彫りカーバイト」は平刀なので深く彫ってもしっかりとした「凹」の形で彫り出すことが出来ます。
同じスジ彫り用の道具で「BMCタガネ」が有名ですが、2023年現在はかなり品薄が続いており、入手が困難(買えても高額)となっています。
一方で、この「スジ彫りカーバイト」は比較的購入しやすく、大きな模型店だと種類も幅広く取り扱っているので、初心者の方でも始めやすいと思います。
それでは、種類はどれぐらいあるのかご紹介します。
スジ彫りカーバイトの種類
「スジ彫りカーバイト」は、0.05mmから0.1,0.15,0.2,0.3・・・1.5mmと全部で13種類の太さから選べるので、自分が彫りたい幅を選んで買うことが出来ます。
僕は「0.15mm」を愛用しており、「0.5mm」と「0.8mm」をたまに使うと言った感じです。
1/144スケールだと「0.15mm」や「0.2mm」を持っていれば、困ることは無いと思います。他方で、1/100スケール以上だと「0.2mm」以降も必要になる事が増えると思います。
その辺りは好みなのでどれを買えばいいか正解はないのですが、大きなキットになるとパネルラインの幅も大きくなるという考えだと、スケールが大きいほどスジ彫りカーバイトの幅も広いものが適してくると言えますね。
細い幅の方が若干値段は高くなり、使用頻度も多い反面、破損する事故も起きやすいです。(この辺りも後述します)
幅の違いで本体についているリング状の目印の色が違うので、近い幅でも間違うことが少ないのも配慮がされていて嬉しいですね。
それでは、このスジ彫りカーバイトはどう使うのか?を解説していきます。
先程の写真の違いはこの「スジ彫りカーバイト」を使えば初心者でも簡単に出来ると思うので、まずはざっと読んでみてください。
スジ彫りカーバイトの使い方
それでは「スジ彫りカーバイト」ってどう使えばいいのか?ですが、基本的には「プラの表面を削りとる」という道具であることを覚えておいてください。
「削り取る」であって「彫る」と思うと危険です。特に初心者の方が「彫る」つもりでスジ彫りカーバイトを使うと力が入り過ぎてしまう可能性があります。
「スジ彫りカーバイト」は同じくファンテックから発売されている専用のホルダーに取り付けて使用します。
が、専用ホルダーでなくてもタミヤのピンバイスなどにも取り付けることが可能です。(黒い小さいタイプではなく、銀色の大きいタイプ)
ちなみに僕はタミヤのピンバイスの方が重さやグリップが手になじむ気がするので、専用ホルダーは使っていません。
通常の「スジ彫り」の方法ですが、まず写真(上)のようにガイドテープを貼って、スジ彫りしたい部分をケガキ針などで軽くけがいておきます。(下)
ある程度ラインがついたら、スジ彫りカーバイトを当てて、軽くなぞります。(力は入れません)
最初は手応えがないので不安かも知れませんが、もう一度軽くなぞり、もう一度軽くなぞり・・・と繰り返すと少しずつ削り取ったプラくずが出てきます。
好みの深さまで削ったら終了です。
何回繰り返したかで「深さ」が変わるので、少ないと「浅い」モールドが出来て、多いと「深い」モールドとなります。
極端ですが、延々と繰り返しているといずれパーツが切断されます。
最後は800番などのペーパーで彫った周辺をならせば完了です。
これが「スジ彫り」の基本の作業です。
あとは、角度が付いたパネルラインの角を綺麗に削れるかどうかなどで仕上がりが変わってくるのですが、その辺はこの作業が上手く出来るようになった後に身につけるテクニックですね。
まずは「真っ直ぐ、キレイに線を彫る」ということを意識すると良いと思います。
でも、いきなり何もないパーツにスジ彫りを彫るというのも、初心者にとっては敷居が高いですよね?
そこで、初心者にオススメする「最初にやってみること」が「既存のモールドの彫り直し」と「ディテールの強調」です。
冒頭にあった写真は後者の「ディテールの強調」をしたわけですね。
まず、「既存のモールドの彫り直し」は文字通りの意味で、すでにあるモールドを「スジ彫りカーバイト」で彫り直すという作業。
「簡単フィニッシュ」などの仕上げだと、そこまで必要がない作業ですが、塗装もしてスミ入れもする仕上げをする方は、ヤスリ掛けやサーフェイサーなどを重ねるうちにモールドが消えてしまうこともよくあります。
これにより「スミ入れ」の効果が良くなり、よりしっかりと彫ることで円滑にスミを流しこむことが出来、仕上がり具合が本当に変わります。
既存のモールドを彫るだけなら「スジ彫りカーバイト」でただなぞるだけなので、初心者の練習にはピッタリの作業というわけですね。
ただなぞるだけと言っても、気を抜いて力を入れてしまったりするとモールドから逸れたうえにパーツを深く傷つけてしまうこともあるので、丁寧にゆっくり作業をしましょう。
続いて「ディテールの強調」ですが、ここで最初の写真に戻ります。
左側がなにもせず、右側が甲の部分の境界線を彫り直しました。
左はスミイレをしたのにぼんやりとしていて、右側はスミイレをしたことでしっかりと強調されているのがお分かりだと思います。
こういった面と面の境界線にスミ入れをしようとしても、キットのままだと上手く流れこんでくれない為、写真左のようにぼんやりとしてしまいます。
一方で写真右側はスミ入れもしっかりと流れているので、ハッキリとした仕上がりになっています。結果、写真のように印象が変わるというわけです。
さらにもう一つ加えると、彫る方向を考えることで、見せ方も少し変わってきます。
こちらの写真は同じパーツの左右を映したものですが、スジ彫りカーバイトで彫り込む際にそれぞれ矢印の方向から彫るように変えています。
少し分かり辛いかも知れませんが、左側が「突き出している」、右側が「乗っかっている」ように見えませんか?
どちらも同じ箇所を同じ「スジ彫りカーバイト」で彫っていますが、刃を当てる角度がそれぞれ矢印の方向から彫り込んでいる違いがあります。
このように少し慣れてくると既存ディテールをよりカッコ良く魅せることも出来るので、初心者の方はぜひ試してみてください。
スジ彫りカーバイトを扱う注意点
スジ彫りをするのにとても便利な「スジ彫りカーバイト」ですが、取り扱いには注意しなければいけません。
特に0.15mmや0.2mmなど、細い幅のタイプは「超硬合金(タングステンカーバイト)」が硬質といっても力のかける方向などを誤ると先端が折れてしまいます。
写真右側は先端が折れてしまったものです。机からうっかり床に落としてしまい、運悪く刃が直撃したことで折れてしまいました。(実は今使っているのは3本目です)
また、曲線などを彫る時も横方向に力が入ると折れてしまうこともあります。
そう考えると「0.1mm」以下が上級者向けとされているのは納得がいきますね。
使わない時の管理も折れないように付属のゴムチューブなどをかぶせるようにしましょう。
「毎回チューブをつけるのが面倒」という方にオススメなのが「スジ彫りカーバイト」を収納するケースです。全部で10本収納が出来るので、2,3本使う方は必ず購入した方が良いと思います。
ちなみに同社が発売している「超硬スクレーパー」なども一応収納が可能です。
最初からケースと「0.15mm」のスジ彫りカーバイト、専用ホルダーがセットになっているお買い得な商品もあるので、0.15mmが欲しい方はこちらを最初に買うことをオススメします。
まとめ
今回はファンテックから発売されている「スジ彫りカーバイト」についてご紹介しましたがいかがだったでしょうか。
正直、1本あたりの値段は決して安くはないですが、これがあるだけでワンランク上の完成品に仕上げることが出来るツールとしては、買って損は無いと思います。
使い始めは大変かも知れませんが、使い慣れるとプラモライフが激的に変化しますので、まだ使ったことがないという方も、これからスジ彫りのツールを使ってみようと思う方も、ぜひ使ってみてください。
最初に買うなら「0.15mm」か「0.2mm」で、使い慣れてきたら他の幅も用途によって購入してみるのが良いと思います。
それでは、良いプラモライフを!
コメント